AI歩行解析アプリ実証プロジェクト 座談会 PJストーリー

RSS購読

堺市では、令和2年12月1日〜令和3年2月28日の間、歩行動画解析 AI アプリを活用し、非接触での身体機能改善に関する実証プロジェクトを行いました。
本プロジェクトは、堺スタイル・ビジネス・コンテンストで最優秀賞を受賞した、株式会社エクサウィザーズとの実証プロジェクトです。
本実証にかかわったプロジェクトメンバーの思いをインタビュー形式でまとめました。

 市職員のインタビュー(2021年3月30日)

 

写真左より
  • S-Cube マネージャー 藤澤 徳太郎
  • ものづくり支援課 係長 藤田 力
  • 地域包括ケア課 課長補佐 花家 薫
  • ファシリテーター:大阪府 スマートシティ戦略部 牧野 陽

堺スタイル・ビジネス・コンテストについて

ー この実証が生まれるきっかけとなった、堺スタイル・ビジネス・コンテストについて教えてください。

 

藤田:
本市では新型コロナウイルス感染症の感染予防と地域経済の回復をめざし、新しいライフスタイルとワークスタイルを実践する取組を「堺スタイル」と名付けて、推奨しています。「ビジネスコンテストを通して、堺スタイルの考え方を普及しよう」との考えのもとで実施したのが今回のコンテストです。反響も大きく、様々な地域の企業等から68もの提案がありました。

 

fujita
S-Cube 藤澤マネージャー

 

藤澤:

このコンテストの特徴は「申請から選定までのプロセスをすべてオンラインで実施」「堺市の課題解決のためのビジネスアイデアを(市外の企業等を含め)誰でも提案できる」「堺をフィールドに受賞者の製品や技術の実証を行うことができる」ということでした。全国規模での周知が必要なことからPR TIMESFacebook広告等で広く周知しました。

 

ー エクサウィザーズさんはコンテストで最優秀賞に選ばれたわけですが、どういうところが評価されたんですか?

 

藤澤:

同社の歩行動画解析AIアプリは、ウィズコロナやアフターコロナの新たな生活様式における高齢者のフレイル予防に活かせる技術であること、市場の広がりも見込めることなどにより総合的に評価されました。

新たな技術の導入にあたって

ー 福祉部門でお仕事をされている花家さんの視点から見て、この技術の現場での導入についてはどのように感じましたか?

花家:
様々な理由から地域の中だけで介護予防の取組を行っていくのが難しくなっている中、新たな技術やアイデアを提供してくれる企業と連携して政策を進めることは、行政としてとても大切なことだと考えています。

福祉全体を企業が担うイメージではなく、リハビリや介護等の一部をロボットやアプリ等のICT技術を活用しながら行っていくのが重要ではないかと思っているので、この技術の実証もぜひ行いたいと思いました。

 

地域包括ケア推進課 花家補佐

 

ー 実際に実証を行ってみてのご感想はいかがでしたか? 

花家:
今回は非接触型のアプリを用いて、関東の企業と堺との遠隔で実証を行いましたが、「まさに全国・世界中どこでも活用できる技術なんだな」と感じました。全国的に見ても先進的な取組になったと思いますし、コロナ禍でも実践できるフレイル予防の手法を確立できたのはうれしく思っています。

 

市民の皆さんの反応

ー 実証に参加された市民の皆さんの反応はいかがでしたか?

 

花家:
「定期的に歩行を評価してほしい」という声も聞かれるなど、フレイル予防の取組へのモチベーションにもつなげることができ、非常に効果的でした。

 

今後の展開

ー 今後の展開はどのように考えていますか? 

花家:
たとえば、高齢者施設等の(専門職ではない)一般の担当者がこのアプリを使えば、専門職並みの歩行に関するアドバイスを市民に提供できるので、この実証の結果を広く地域で発信していきたいと考えています。

また、他にも福祉や介護の現場で活かせるICTを使ったサービスや技術があると思うので、どんどん実証をして、市民の皆さんに伝えていきたいと考えています。

 

ー 企業振興のお仕事をされている藤田さん、藤澤さんは今後、堺でスタートアップ等の企業との連携を進めていくためにどのようなことをしていきたいと考えていますか?

藤田:
堺では、今回のビジネスコンテストを実施したS-Cubeがある中百舌鳥エリアを拠点に、スタートアップ支援の取組を行っています。これからも様々な取組を通じて、スタートアップをはじめとした企業が堺に来やすくなるような空気感や流れを創っていきたいと考えています。

 

fujita
ものづくり支援課 藤田係長

 

藤澤:
私はスタートアップ等の企業は地域の推進力だと思っています。企業と行政の間に立って風通しをよくし、公民連携や実証等を進めやすくするのが私たちの役割だと思っていますので、そのために今後も取り組んでいきたいと思っています。

 

株式会社エクサウィザーズ様からのコメント
株式会社エクサウィザーズ AIプロダクト事業部 吉村 和也様

 

■実証プロジェクトの成果サマリーはこちらをご覧ください

実証プロジェクトの成果サマリー

 

今回の実証で用いた製品・サービスを開発された経緯をお教えください。

我々は人工知能(AI)を用いて、専門家のもつ知見(特にヘルスケア領域)を汎用化して広めていくことで個人をエンパワーメントし、社会課題解決を目指していきたいという想いをもって事業を行っています。

高齢者の日常動作において「歩くこと」が健康維持には重要であるという認識のもと、歩行を客観的かつ簡便に評価できるツールを広めるため、本プロダクトを開発しました。 

 

なぜ堺市と連携して実証を行おうと考えたのかをお教えください。 

堺市は介護予防領域における成果連動型事業の実践や泉北ニュータウンにおける高齢者にも優しいまちづくりの展開など、ヘルスケア領域における先進的な取り組みを進めておられる自治体であり、きっと我々のようなAI企業とも新たな取組を一緒に進めていただける自治体であると感じ、堺スタイルビジネスコンテストに応募しました。

 

ー 堺市と実証をしてみて、どうだったかお教えください。

まず何より、コロナ禍で思うように実証を進めることが出来ない中、堺市役所の方々やご協力いただいた市内のリハビリ専門職の方々の多大なご協力のもとで実証を行えたことに感謝しています。

そうした中で実施した今回の実証では、弊社プロダクトを活用することで高齢者のお身体に直接触れることなく歩行機能を評価でき、またその評価結果をご本人にフィードバックすることで、実証参加者の運動意欲の改善に貢献できることを確認できました。

また、リハビリ専門職の方々からも、アプリの使いやすさや解析結果の分かりやすさなどに対し好意的なコメントを多く頂き、弊社プロダクトについて、介護サービス事業者等のみならず元気高齢者向けや介護予防領域での活用についても手応えを強く感じることができました。

 

ー 今後、実証を踏まえ、どのような事業展開に結び付けていきたいと考えているか、お教えください。

堺市内や他の自治体での施策や介護事業所、地域の集い場での活用等、個々の運動意識改善のみならず、市民が互いに運動意欲を高め合うための日常の歩行評価ツールとして、社会実装を進めていきたいと思っています。

 

SMART SENBOKU PROJECT トップへ